地震被災後に建築士によって行われる、応急危険度判定は私も何度か派遣された経験が あるが、災害時には役に立たない不要なボランティア ではないか思う。
私が判定士の資格を更新しなかった 理由の一つ。
ただし建築士にとって、被災した建物を見る経験は必要ではある。
被災建築物 応急危険度判定 とは
地震により 被災した 建築物が、その後に 発生する 余震等で 倒壊したり、物が 落下し、人命に 危険を およぼす 恐れ があります。
被災建築物 応急危険度判定 とは
このような 二次災害を 防止 するため、被災後、 応急危険度判定員 が被災建築物の 調査を行い、その建築物が使用できるか否か応急的に判定するものです。調査は無料で行います。判定結果は、建築物の 見やすい 場所に 表示され、居住者の 方はもとより、付近を 通行する 歩行者等にも、その建築物の 危険性について 情報提供する こととしています。
なお、この調査は 罹災(りさい)証明の ための 被害調査 ではありません。
倒壊している建物は誰が見ても「危険」の赤紙だから。そんな建物であっても、建物への立ち入りを禁止するといった強制力は無い。当然である。
応急危険度判定 赤紙の意味
ちなみに、瓦など落下物の危険があれば、問答無用で赤紙を貼る。
所有者の 方によっては、「赤紙 を貼って欲しい」「赤紙 を貼ってくれるな」どちらの意見もあるが、そこは 聞く耳を持たない。
「赤い紙を貼ってくれ」(地震保険の「全壊」になる思っている)
「赤い紙を貼らないでくれ」(もう住めないと思っている)
後日 行われる被害認定調査の後に出る、罹災証明に影響は無いので、紙の色は関係ないのだ。
熊本地震:「危険」の赤紙、住んでいいの? 家屋応急判定 - 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20160507/k00/00e/040/214000c
応急危険度判定と罹災証明とは?<追加情報あり> | 日経 xTECH(クロステック)
http://tech.nikkeibp.co.jp/kn/atcl/bldnews/15/041500569/041700020/
住宅相談の必要性
ただ、被災者の 話を聞くと安心してもらえる、という意味では 傾聴ボランティアに 近いのかもしれない。
これは日頃、耐震診断をしている時 にも同様に 感じているが、自宅に 損傷が 無くても、なんとなく不安だし、山間部だと人も少なく尚のこと災害体験を 共有できる人が少ないのが影響 しているのかも 知れない。
訪問時に、こちらとしては「非常事態だし、話しを聞いてもらえるのだろうか」との思いで声を掛けるが、すべてのお宅で「歓迎」されたのは、間違いの無い事実。
ただ被災地で相談をされてもその後、遠くから派遣されている我々には、実際に 手伝える事は何も 無い。
そう言う意味では、2004年 新潟県中越地震 後の「被災住宅相談キャラバン隊」には、意義があったと思いたい。2014年 長野県 白馬 神城断層地震 後も然り。
地震被災後には地方自治体が主体となって、(なるべく地元の)建築士による住宅相談を受けることが出来る体勢を整えた方が良いと考える。
被災した新潟県小千谷市の建物。翌年早春のようす。小屋梁はすべて近くの山の杉材との事。修繕も可能ではあったと思われるが、女性がお一人で住まわれていたため維持も難しく、現在は解体されている。
家主様からしばらく時間をもらい、骨組みだけでも利用してくれる人を募ったが、最終的に現れなかった。その後伺った話では、一部を利用してくれた方がいたとの事。